i7-5960Xは2020年でも闘えるか検証 OC, ベンチマーク, レビュー
概要
自宅ハイパーバイザーマシン用に手に入れたIntel Core i7-5960X。組み込む前にOC、パフォーマンスを測定してみたところ驚きの結果に。
モチベーション
- 5960xとx99マザーとメモリ32Gがセットでお得に手に入った
なんと40k切り。
やったこと
今回やったこと。
パーツ選定
当初は予算50kくらい(CPU、マザー、メモリこみこみ)で10C/20T以上のXeon e5 v3あたりを探していたが、Xeonは予算内では厳しそうなのと、実現したいことは16T程あれば足りるため、5960xも候補に入っていた。
ソケットは同じLGA2011-3なので、もしコア数が足りなくなったらXeonに乗り換えればいい。また、5960xはXeonよりコア数が少ない分動作クロックが稼げるので、コア数が足りていれば5960xのほうがパフォーマンスが出るだろうと思っていた。ECCメモリは特に拘らない。
そんな状況で年末あたりから毎日某オークションや某フリマを巡回して、やっと巡り会えたが5960xとx99マザーとメモリ32Gのセットである。
で、買いました。
むふふ pic.twitter.com/5GoxZJPa88
— げんまいろえ (@kqlg4) 2020年1月22日
Intel Core i7-5960X ?
Q3'14に登場した、コンシューマー向け最強(当時)のCPUである。コンシューマー向け初のDDR4対応や、圧倒的なコア数で脚光を浴びた。価格は$999。現在のi9-10980XEのポジションといったところか。
スペックは以下。
項目 | 値 |
---|---|
C/T | 8/16 |
ベースクロック | 3.00 GHz |
ブーストクロック | 3.50 GHz |
TDP | 140 W |
PCIeレーン数 | 40 |
会場設営
バラック会場を設営。
構成は以下。
種別 | 名前, 型番 | メーカー | 備考 |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-5960X | Intel | - |
GPU | GV-N65TOC-2GI | GIGAGYTE | GTX650Ti |
マザー | X99-DELUXE | ASUS | - |
メモリ | F4-2666C15D-16GRR | G.Skill | x2, 計32GB |
ストレージ | m-SATA SSD | ? | 256GB |
電源 | WIN+ Power 3 | hec | 700W 80PLUS Bronze |
CPUクーラー | Kraken X52 | NZXT | 240mm ラジエーター |
初期設定
以下のように設定。BIOSバージョンは最新の4101。
種別 | 項目 | 設定値 | 備考 |
---|---|---|---|
オンボードスイッチ | TPU | Disabled | - |
オンボードスイッチ | EPU | Disabled | - |
オンボードスイッチ | SLI/CFX | 3-WAY | - |
オンボードスイッチ | EZ_XMP | Enable | - |
UEFI | DRAM Frequency | DDR4-2666MHz | - |
Auto設定でのベンチマーク
CinebenchR20
スコア: 3208pts漆黒ベンチ
GPUは手持ちのRTX2060を使った。スコア: 15258
...!?
3800Xのスコア超えてません!? keroqueue.hatenablog.com
OCする
まずはコアクロック倍率をマニュアルに設定する。
CPU Core Ratioを"Sync All Cores"にして、1-Core Ratioの任意のコアクロック倍率を入力する。コアクロック倍率(Core Ratio)*ベースクロック(BLCK Frequency)がコアクロックの値となる。
今回は38から開始した。
コア電圧をマニュアルに設定する。コア電圧が高ければ高クロックが安定するが、発熱が多くなるため、なるべく低い値から始めて必要に応じて少しずつ盛っていく。
今回は1.1Vから開始した。
CPU Load-line Calibration(LLC)のレベルを8に上げる。CPUはオーバークロック時、Vdroopと呼ばれるコア電圧が低下する現象がおこるが、LLCによって高負荷時にコア電圧を盛ることで、コア電圧の低下を防ぐことができる。
設定を保存してOSを立ち上げ、Cinebenchを回す。完走したらデータを記録して、コアクロック倍率を1上げる。失敗したら、コア電圧を0.025上げる。これを繰り返してクロックを詰めていく。
本環境では、4.7GHzまでCPUクロックを詰めることができた。以下にコア電圧とスコアのグラフを示す。
43→44あたりから昇圧が必要になり、46→47は0.75Vも昇圧する必要があった。48チャレンジで段階的に1.4V(+0.1V)まで盛ったが、ベンチ完走が近づく雰囲気がなかったため47が限界と判断した。
Cinebenchのスコアはクロックに比例して直線的に伸びた。
Cinebenchの最終スコアは4132(+924)。
3800XをOCした際のCinebench最終スコアは43.75GHzで5028。3800Xは3560XよりもIPCが優れていることがわかる。
漆黒ベンチは15546(+288)。
AfterburnerのログをSplunkに取り込んで可視化したCPUとGPUの負荷とフレームレートのタイムラインは以下。3800XよりもGPU負荷が高いので、オブジェクト多数の時のボトルネックが少ないと思われる。
3800Xのグラフは以下。 keroqueue.hatenablog.com
3560Xと3800Xのタイムラインを比較してみる。
ロード時間が違う関係で徐々にずれているが、5960Xの方がGPU負荷が100%張り付きしている時間が長く、フレームレートも稼げていることがわかる。
検証結果まとめ
結局闘えるのか、まとめ。
5960XのOC特性
ベース | ターボ | OC |
---|---|---|
3.0GHz | 3.5GHz | 4.7GHz (Core Voltage: 1.3V) |
Intel CPUはクロックの伸びがいいのでOCが楽しいという情報をよく目にするが、実際そのとおりだった。ブースト3.5GHzからOC4.7GHzは圧巻。
5960XのCinebenchスコア
ターボ | OC (4.7GHz) |
---|---|
3208 | 4132 |
AllCore4.375GHzの3800Xに勝てずIPCの違いが見られた。さすがに現行主流の製品群には敵わない。
5960Xの漆黒ベンチスコア
ターボ | OC (4.7GHz) |
---|---|
15258 | 15546 |
※GPU: RTX2060, Display resolution: 2560x1080
OCせずとも3800Xよりもいいスコアを叩き出してしまう驚きの結果となった。闘えているどころの話ではない。
所感, 雑記
3800XはAllCoreでカタログブーストクロック(4.5GHz)まで回らなくて正直"は?"となっていたが、5960XはOCしていて楽しかった。
漆黒ベンチでの特性を見るに、FF14やるならIntel CPUのほうがいいんだろうか。9900Kとかは漆黒ベンチでどんなグラフを描くのか気になる...。
CinebenchでCPUの処理性能を測定するのは一般的だが、ゲーミング性能はタイトルによるようなので用途に合ったCPUを選ぶと幸せになれそう。
5年以上前のCPUだが、今でも十分使えるCPUであることが分かった。TDPからするにOC常用でのワットパフォーマンスはいまいちっぽいけど。
これからハイパーバイザーとして頑張ってもらおう。
Appendix
写真達
画像だらけになってしまうので、付録として。
外箱。
外観。両サイドにメモリスロットがあるデザイン、いいね。
CPU。一般的なCPUよりも一回り大きい。
CPUソケット。普通のLGA2011-3よりもピンが多い。ASUS独自らしい。
VRMは8フェーズ。
PCIスロット。x16サイズのスロットがずらりと並んでいる。
こんなところにM.2スロットが。
オンボードスイッチ類。電源/リセットボタンやPOSTコードを確認できるセグメントLED、その他さまざまな設定ができるスイッチを備えている。
バックパネル。ポート類の数がハイエンドM/Bであることを物語っている。
付属品たち。